← ガイド一覧

経過措置終了(2031年10月)に向けたロードマップ— 今からできる準備

公開: 2026年7月29日

免税事業者からの仕入れに関する経過措置は、段階的に縮小しながら2031年9月30日をもって完全に終了する予定です。
2026年10月の70%への切替は、その最初の大きな節目にあたります。
少し先の話に感じるかもしれませんが、早めに全体像を把握しておくと、直前になって慌てずに済みます。

1. 経過措置終了までの全体スケジュール

令和8年度税制改正により、当初予定されていたよりも緩やかな、段階的な縮小スケジュールに変更されています。

  • 〜2026年9月30日: 免税事業者からの仕入れの80%を控除
  • 2026年10月1日〜2028年9月30日: 70%を控除
  • 2028年10月1日〜2030年9月30日: 50%を控除
  • 2030年10月1日〜2031年9月30日: 30%を控除
  • 2031年10月1日以降: 控除なし(原則どおりの取り扱いに戻る)

2. なぜ今のうちに考えておくとよいのか

段階が進むごとに、免税事業者との取引にかかる消費税の負担は着実に増えていきます。
「様子を見ていれば戻る」性質のものではなく、負担は一方向に増え続けるという前提で、免税事業者との取引が多い会社ほど、早めの見通しが重要になります。
直前に慌てて取引先の見直しを行うのではなく、数年かけて段階的に状況を把握しておく方が、現実的な対応がしやすくなります。

3. 段階的に取り組める準備の例

  • 2026年〜 — 免税事業者との取引先の一覧を把握し、取引金額の規模感を確認する
  • 2027年〜2028年 — 主要な免税事業者に対して、登録の予定があるかを確認する
  • 2029年〜2030年 — 控除割合がさらに下がる(50%→30%)タイミングにあわせ、取引条件の見直しを検討する
  • 2031年(終了直前) — 最終的な取引条件・仕入先の見直しを最終確認する

4. incakuでできること

incakuでは、取引先が適格請求書発行事業者かどうかを継続的に監視できます。
「どの取引先がまだ免税事業者のままか」を早い段階から把握しておくことは、この先数年のロードマップを考えるうえでの土台になります。

6. 想定シナリオ:3年計画に組み込むとき

経営計画の策定時に、免税事業者との取引比率の低下目標を設定する場面です。
2031年の完全終了を見据え、段階的な取引先見直しを計画に組み込みます。

直近の切替は2026年10月、連絡文面はテンプレートを参照してください。

7. よくある質問

Q. 確認作業は毎月必要ですか

課税仕入れがある限り、請求書ごとの確認が基本です。
取引先の登録状況は別途、定期的な再照合も検討してください。

Q. 不備が見つかったら誰に連絡しますか

発行元の経理担当または窓口に修正を依頼します。
不備の影響もあわせて確認してください。

Q. 少額の取引は確認不要ですか

一定条件の少額特例があります。
少額特例の適用可否は個別に確認してください。

Q. ツールだけで完了できますか

自動チェックは参考結果であり、最終判断は人または税理士が行います。
WARN(要確認)は必ず目視で確認してください。

8. まとめ

  • 段階的縮小は一方向
  • 早めの取引先把握が土台
  • 登録予定の確認を継続
  • 取引条件は協議ベース
  • 2031年終了を前提に計画

20. 実務チェックの補足ポイント

月末処理では、確認結果を「PASS・要確認・不備」の3区分で記録しておくと、翌月以降の手戻りが減ります。
特に取引先名称の表記ゆれや税率区分の読み取りづらさは、同じ取引先で繰り返し発生しやすいため、初回確認時にメモを残しておくと効率的です。

手順の全体像は受取請求書チェックの手順、記載要件は記載要件チェックリストを参照してください。
免税事業者との取引が多い場合は経過措置の切替もあわせて確認しておくと、控除割合の変化に備えやすくなります。

自動チェックツールを導入する場合も、WARN(要確認)の案件だけ人が目視する二段構えにすると、品質と効率のバランスが取りやすくなります。
新人担当者向けには、サンプルPDFと正解例・要確認例をセットにした研修資料を用意しておくことをおすすめします。

21. よくある質問

Q. 確認記録はどのくらいの期間保管しますか

仕入税額控除に関する帳簿・証憑は原則7年の保存が目安です。
保存期間の記事も参照してください。

Q. 取引先に修正を依頼する文面はありますか

経過措置切替時の連絡文面はテンプレート記事が参考になります。
記載不備の修正依頼も同様に、丁寧かつ具体的な指摘内容を伝えると対応が早まります。

Q. 簡易課税でも同じ確認が必要ですか

納税額計算への影響は異なりますが、会計処理の正確性の観点では確認に意味があります。
簡易課税との違いを参照してください。

補足:社内運用に落とし込むときのチェックリスト

制度の理解だけでなく、誰がいつ何を確認するかを社内文書に落とし込むことが実務の安定につながります。
月末の請求書処理では、登録番号の公表照合・記載要件の確認・保存要件の充足の3つを分けてチェックリスト化し、担当者の引き継ぎ時にも迷わないようにしておきましょう。

関連記事としてチェック手順、記載要件、保存期間を参照し、自社の規模に合った頻度(毎月・四半期)で見直してください。
免税事業者との取引が多い場合は経過措置と長期ロードマップもあわせて社内共有しておくと、取引条件の協議がスムーズになります。

運用メモの残し方

確認日時・確認者・結果(PASS/WARN/FAIL)・取引先への連絡有無を1行で記録する形式にすると、後からの税務調査や内部監査の説明に使えます。
ツールを使う場合は履歴機能を活用し、手作業の場合はスプレッドシートで一覧管理する方法が一般的です。

5. 社内試算の進め方

免税事業者との年間取引額に、各時点の控除割合を掛けて影響額を概算します。
試算結果は経理・購買・経営層で共有し、価格改定や取引先切替の判断材料にします。

取引先への連絡文面はテンプレート記事をベースに作成してください。

6. 部門別の影響整理

購買・総務・経理それぞれが影響を受ける取引先を洗い出し、 部門横断で優先度リストを作成すると実行が早まります。

7. まとめ

  • 控除割合の段階低下をカレンダー化する
  • 部門横断で影響取引先を洗い出す
  • 試算結果を価格・契約見直しに使う

補足

ロードマップは経営会議資料に組み込み、購買部門の交渉方針と連動させると実行力が上がります。
影響額が大きい取引先から優先的に対話を始め、記録を残してください。

2031年までの段階低下を、取引先ごとの契約更新日と重ねてカレンダー表示すると、交渉のタイミングを逃しにくくなります。

試算表は四半期ごとに更新し、取引先の登録状況変化を反映した最新版を経営会議に提出します。

本記事の手順は社内マニュアルに転記し、担当者交代時の研修資料としても活用してください。
運用を変えた場合は、変更日と変更理由を1行メモして履歴として残します。

関連する社内規程・マニュアルと本記事のリンクを相互に設置し、担当者が迷わず参照できる導線を整えてください。
年1回は記事内容と実務のズレがないか見直し、必要に応じて社内手順を更新します。

注意

本記事は国税庁・財務省の公表資料等に基づく一般的な情報の整理であり、税務・法的助言ではありません。
制度が今後さらに見直される可能性もあるため、最新情報は国税庁の公表資料でご確認ください。個別の対応方針は税理士等の専門家にご相談ください。

インカク(incaku) で試す(無料・テキスト/PDF無制限・監視1社)

テキスト層のある請求書 PDF をアップロードするだけで、登録番号の形式チェック・公表照合・記載要件の確認を自動実行。
取引先の登録番号監視にも対応します。
画像・スキャンPDFのOCR対応は今後対応予定です。
無料枠はテキスト・PDF 無制限・監視 1 社まで(CSV 一括はスタンダード以上)

← ガイド一覧