適格請求書の保存期間・保存方法|何年・どんな形式で残せばいいか
公開: 2026年7月27日
登録番号や記載要件のチェックが終わった後、もう一つ実務で迷いやすいのが「この請求書、何年・どうやって残せばいいのか」です。
1. 保存期間の基本は7年
仕入税額控除の要件として、受け取った適格請求書(および帳簿)は、原則としてその課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間の保存が必要とされています。
法人・個人事業主で細かな起算点の違いはありますが、「7年」を目安にしておけば大きく外しません。
2. 紙で受け取った請求書
郵送やFAXなど紙で受け取った請求書は、紙のまま保存するのが原則です。
スキャンして電子化し、紙を廃棄することも可能ですが、その場合は電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件(タイムスタンプ・解像度・検索性の確保など)を満たす必要があります。
自己流でスキャンして紙を捨てると、要件を満たさず「保存していない」扱いになるリスクがあるため、社内でスキャナ保存の運用ルールを決めてから始めるのが安全です。
3. メール添付・PDFなど電子データで受け取った請求書
メールに添付されたPDF請求書など、最初から電子データで受け取ったものは、電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当し、紙に印刷して保存することは認められません。
電子データのまま、次の要件を満たして保存する必要があります。
- 改ざん防止の措置(タイムスタンプ、または訂正削除の記録が残るシステムでの保存など)
- 検索性の確保 — 取引年月日・取引金額・取引先名で検索できる状態にしておく
- ディスプレイ・プリンタ等の備え付け(税務調査時にすぐ出力・表示できること)
「メールで届いたPDFを印刷して紙のファイルに綴じている」という運用は、電子帳簿保存法上は認められていない点に注意が必要です。
4. 検索性の確保、実務ではどう満たすか
専用システムを使わない場合でも、次のような簡易な方法で検索性の要件を満たせるとされています。
- ファイル名を「日付_取引先名_金額」の規則で統一する(例: 20261001_株式会社サンプル_110000.pdf)
- 表計算ソフトで索引簿(日付・金額・取引先の一覧)を作り、ファイルと紐づける
件数が少ないうちはこの方法でも運用できますが、取引先・件数が増えるほど、ファイル名のつけ忘れや索引簿の更新漏れが起きやすくなります。
5. チェック記録と保存をセットで考える
incakuでチェックした履歴は、登録番号・公表照合結果とあわせてシステム内に残ります。
保存要件そのものを代行するものではありませんが、「いつ・どの請求書を・どうチェックしたか」を後から確認できる状態にしておくことは、保存要件の検索性を補強する材料になります。
チェック履歴の保持期間はプランによって異なるため、使い方ガイドの履歴の項目もあわせてご確認ください。
7. 想定シナリオ:紙から電子保存へ移行するとき
これまで紙で保管していた請求書を、スキャナ保存の要件を満たして電子化する場面です。
タイムスタンプ・解像度・検索性の3点を満たす運用ルールを先に決めます。
8. よくある質問
Q. 確認作業は毎月必要ですか
課税仕入れがある限り、請求書ごとの確認が基本です。
取引先の登録状況は別途、定期的な再照合も検討してください。
Q. 不備が見つかったら誰に連絡しますか
発行元の経理担当または窓口に修正を依頼します。
不備の影響もあわせて確認してください。
Q. 少額の取引は確認不要ですか
一定条件の少額特例があります。
少額特例の適用可否は個別に確認してください。
Q. ツールだけで完了できますか
自動チェックは参考結果であり、最終判断は人または税理士が行います。
WARN(要確認)は必ず目視で確認してください。
9. まとめ
- 保存期間の目安は7年
- 紙受領と電子受領で保存方法が異なる
- 電子受領PDFの印刷保存は原則不可
- スキャナ保存は要件を満たす必要がある
- チェック記録もあわせて保管する
20. 実務チェックの補足ポイント
月末処理では、確認結果を「PASS・要確認・不備」の3区分で記録しておくと、翌月以降の手戻りが減ります。
特に取引先名称の表記ゆれや税率区分の読み取りづらさは、同じ取引先で繰り返し発生しやすいため、初回確認時にメモを残しておくと効率的です。
手順の全体像は受取請求書チェックの手順、記載要件は記載要件チェックリストを参照してください。
免税事業者との取引が多い場合は経過措置の切替もあわせて確認しておくと、控除割合の変化に備えやすくなります。
自動チェックツールを導入する場合も、WARN(要確認)の案件だけ人が目視する二段構えにすると、品質と効率のバランスが取りやすくなります。
新人担当者向けには、サンプルPDFと正解例・要確認例をセットにした研修資料を用意しておくことをおすすめします。
21. よくある質問
Q. 確認記録はどのくらいの期間保管しますか
仕入税額控除に関する帳簿・証憑は原則7年の保存が目安です。
保存期間の記事も参照してください。
Q. 取引先に修正を依頼する文面はありますか
経過措置切替時の連絡文面はテンプレート記事が参考になります。
記載不備の修正依頼も同様に、丁寧かつ具体的な指摘内容を伝えると対応が早まります。
Q. 簡易課税でも同じ確認が必要ですか
納税額計算への影響は異なりますが、会計処理の正確性の観点では確認に意味があります。
簡易課税との違いを参照してください。
補足:社内運用に落とし込むときのチェックリスト
制度の理解だけでなく、誰がいつ何を確認するかを社内文書に落とし込むことが実務の安定につながります。
月末の請求書処理では、登録番号の公表照合・記載要件の確認・保存要件の充足の3つを分けてチェックリスト化し、担当者の引き継ぎ時にも迷わないようにしておきましょう。
関連記事としてチェック手順、記載要件、保存期間を参照し、自社の規模に合った頻度(毎月・四半期)で見直してください。
免税事業者との取引が多い場合は経過措置と長期ロードマップもあわせて社内共有しておくと、取引条件の協議がスムーズになります。
運用メモの残し方
確認日時・確認者・結果(PASS/WARN/FAIL)・取引先への連絡有無を1行で記録する形式にすると、後からの税務調査や内部監査の説明に使えます。
ツールを使う場合は履歴機能を活用し、手作業の場合はスプレッドシートで一覧管理する方法が一般的です。
補足:電子保存のファイル名規則
「取引年月日_取引先名_金額.pdf」のような規則にすると、 後からの検索要件(日付・金額・取引先)を満たしやすくなります。
紙から電子へ移行する際は、スキャン日と原本の取引年月日を混同しないよう、 移行手順書にスキャン品質基準も明記してください。
補足:紙原本の廃棄手順
電子化後に紙を廃棄する場合は、社内規程で廃棄タイミングと承認者を定め、 電子データのバックアップ完了を確認してから実行します。
補足:バックアップ方針
クラウド保存とオフサイトバックアップを併用し、 復旧手順を年1回テストすると保存要件の実効性が高まります。
補足
電子帳簿保存法のタイムスタンプ要件を満たす保存方法を採用する場合は、請求書PDFの改ざん検知手順も社内規程に含めてください。
注意
本記事は国税庁の公表資料等に基づく一般的な情報の整理であり、税務・法的助言ではありません。
保存方法・保存期間の個別の判断は、税理士等の専門家にご確認ください。
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